敷金精算のトラブルが増加していることから、借主及び貸主の費用負担を裁判事例に基き、国土交通省が妥当と考えられる一般的な基準をガイドラインとして作成したものです。
ガイドラインのため、法律ではありませんが、裁判になった場合、原状回復ガイドラインが重要なポイントとなります。
一番大切なことは契約時に不動産会社から居住中、退去時における費用負担について、よく説明を受け、双方納得した上で契約することです。(敷引と特約については不動産会社も取扱いを知らないケースが多いため特に注意が必要です。)
現在、既に賃貸借契約を締結されている方は、一応、現在の契約書が有効なものと考えられますので、契約内容に沿った取扱いが原則ですが、契約書の条文があいまいな場合や、契約締結時に何らかの問題があるような場合は、このガイドラインが参考になります。
●認められる契約書の特約について
原状回復ガイドラインでは、特約事項を設ける場合は、下記の要件を満たすよう要求しています。
1.特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
2.賃借人(借主)が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
3.賃借人(借主)が特約による義務負担の意思表示をしていること
●認められない契約書の特約について
最高裁判例 敷金返還請求事件 賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗について賃借人が原状回復義務を負う旨の特約が成立していないとされた事例
◇上記と違う観点
通常損耗を賃借人(借主)負担とする特約事項は、消費者契約法10条により、無効になる裁判例もあります。
民法420条により、契約の当事者は、損害賠償の額を予定し、契約で定めることができます。
これを損害賠償額の予定といいますが、賃借人が賃貸借契約に関して、賃貸人に損害を与えた場合に備えて規定するものであり、約定された損害賠償額が暴利行為に当って無効になる場合や消費者契約法により無効になる場合など、特段の事由がない限り、このような特約は有効と認められています。
賠償額を予定してそれを契約すると、退去時において実損額にかかわらず予定賠償額が賠償額となり、減額も増額もできないことになります。(※「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン 」より抜粋)
参考:
消費者契約法 (8条、9条、10条) 第三章 消費者契約の条項の無効
契約の中に業者の賠償責任を一方的に軽くするような「消費者に不当に不利益」な特約は無効